褥瘡は皮膚、皮下組織などが骨と床面の間で持続的に圧迫されることにより阻血性の壊死を起こし、それに感染が加わって難治性の潰瘍となったものを言います。
褥瘡の背景因子としては、1)老人、2)慢性消耗性疾患、3)種々の原因による意識障害、4)重篤な感染症、5)低蛋白血症、6)脳血管障害などによる麻痺、などがあげられますが、 これらが重なりあって悪循環をなしていることが多いとされます。今回仙骨部に生じた褥瘡に対して、通常行っている褥瘡ケアを実施したにもかかわらず、褥瘡が急速に悪化した症例に対して、遠赤外線マットを併用し、褥瘡が改善した症例を経験しました。
遠赤外線は人間が放射する赤外線の約半数を占めるため、遠赤外線が身体にあたると、お互いに同調、共振してなお一層身体から熱が発生することができ、また遠赤外線の波長は長く、
浸透作用は皮膚下組織の深部まで達します。
このため細胞の活性化と血流循環を促進させ組織の形成を促したと考えられました。
参考文献
1)宮地良樹:褥創の予防・治療ガイドライン、照林社、東京、1998
2)褥創・嚥下障害・感染防止の最新ケア、別冊エキスパートナーズ、照林社、東京、1998
遠赤外線マット使用前後の局所サーモグラフィ
経過表